「障がい者の就労を考えるつどい2012 就労へのトライアングル~当事者・企業・支援機関の協働~」のご報告
11月2日(金)、三鷹市・武蔵野市・ハローワーク三鷹の3所合同開催で「障がい者の就労を考えるつどい2012 就労へのトライアングル~当事者・企業・支援機関の協働~」を武蔵野スイングホールにて行いました。合同開催は今年で5回目になります。
今回のつどいは、企業での就労を継続するために、当事者、企業、支援機関の三者が「協働のトライアングル」を作っていくことが重要になる、というテーマで企画しました。ハローワークからの報告と二組の実践報告から、職場定着支援における三者の協働のあり方について学びました。当日は当事者、ご家族、企業の方々や、福祉・医療・教育・行政関係から117名の方々にご参加いただきました。
開会にあたり、邑上守正武蔵野市長、清原慶子三鷹市長よりご挨拶をいただきました。邑上守正市長からは、武蔵野市が翌日に市政誕生65年を迎えること、来春から障害者雇用率制度が2.0%になることを受け、今後も前進していかなければならない、というお話をいただきました。清原慶子市長からは、今回のテーマである「トライアングル」という言葉を受け、「ハローワークと武蔵野市と三鷹市の協働」と「当事者と企業と支援機関の協働」で障がい者の就労支援を重ねてきたこと、障がいがあっても働いたことの対価としてきちんとお金がもらえる社会を実現することが重要である、というお話をいただきました。
つどい前半では、ハローワーク三鷹専門援助第二部門統括職業指導官の畠山くみ子氏より「ハローワーク窓口からみた障がい者雇用の現状」についての報告がありました。まず、障害者雇用率制度は平成25年4月より民間企業で1.8%から2.0%に上がること、障害者雇用納付金制度の対象が、平成27年4月より100人を超え200人以下の会社、事業所に拡大されるという説明がありました。次に雇用状況については、民間企業における障がい者の雇用状況は年々少しずつ伸びてきていること、都内やハローワーク三鷹管轄内では精神障がいの方が年々増えてきていることをご報告いただきました。障がい者雇用を進めるためには、労働・福祉・教育の行政や関係機関が連携して支援ネットワークを形成することにより、企業の障がい者雇用に対する不安や負担感が解消されることから、「チーム支援」が大変重要であるというお話をいただきました。
後半は、「実践報告とディスカッション」です。最初に総論として「当事者・企業・支援機関の協働による就労支援」というテーマで、東京障害者職業センター多摩支所の主任障害者職業カウンセラー田川恭子氏よりお話をいただきました。就職はゴールではなく「働き続ける」ためのスタートであり、「働き続ける」ため、また企業は「雇い続ける」ため、当事者・企業・支援機関の協働での支援が大切であるとのお話をいただきました。
次は企業からの実践報告です。一社目はアフラック・ハートフル・サービス株式会社です。事業統括部長\じぎょうとうかつぶちょうの菅泰男氏からは、チャレンジド社員(障がい当事者社員)の推移について、2009年の創業時に5名であったのが現在では53名(新卒6名)であり、雇用率は2.0%を超えているとの報告をいただきました。また、業務のローテーションにより社員にスキルアップを意識してもらうことに努めているというお話がありました。次に、業務推進課指導員の白幡奈央氏より、日々の業務の実際をお話いただきました。定着支援の取り組みでは、日報や目標設定の振り返りなど日々の取り組みの他に、研修や表彰、様々なプロジェクト活動など年間を通しての取り組みも行っているということです。次に当事者社員の方と武蔵野市障害者就労支援センターあいるの職員より、地域の社会資源を活用して就労の準備に取り組んだ様子を報告いただきました。作業所で3年間生活リズムを整え、体力をつけ、その後別の作業所に移り、働くことに重点をおいて、報告・連絡・相談やビジネスマナーの習得に努められたということです。あいるでは職場体験実習を経て就職活動を行い、アフラック・ハートフル・サービス株式会社の面接では「どうしても入社したい」という熱意を伝えたこと、実習中は守衛さんやまわりの人に明るく挨拶をすることを心がけたことをお話いただきました。入社してからは作業所で慣れていた作業の他に、様々な仕事が増えてきたことを笑顔でお話され、最後に就労を目指しているみなさんへと題してメッセージをいただきました。「作業所で5年半がんばって課題を習得しました。みなさんもあきらめずにぜひがんばってください」という力強い言葉に勇気をいただいた方々も多かったのではないかと思います。
二社目は、シダックスオフィスパートナー株式会社からの実践報告です。最初に業務部リーダーの関根要二氏より事業概要や基本理念についてお話がありました。2011年特例子会社を立ち上げ、当初は社員が23名(うち障がい者20名)であったのが、2012年10月には52名(うち障がい者46名)になった、との報告がありました。次に、実際に指導にあたっている事業部指導員の佐藤功晃氏より、当事者社員の所属する部署の業務内容や雇用管理で心がけていることをお話いただきました。分からないことはすぐに聞いてもらうようにしていることや、月に1度の面談で気になったことはすぐに取り上げ解決していくというお話を伺いました。次に当事者社員の方からは、クローズ(障がいについて会社に伝えない働き方)とオープン(障がいについて会社に伝える働き方)の両方で働いたことのある経験から、それぞれのメリットとデメリットをお話いただき、ご自身はオープンでの働き方を選択し支援機関を活用して就職した経緯をお話いただきました。最後に三鷹市障がい者就労支援センターかけはしの職員が、当事者社員の方と佐藤氏にインタビューをしながら、どのように協働の関係を作っていったのかをお聞きしました。当事者社員は当初、自分から相談をすることが難しかったため業務日誌を活用したこと、月に1度の面談を通して職場での人間関係を築き、徐々に自分から話しかけられるようになって仕事がやりやすくなったことなどを笑顔で報告していただきました。
二社の実践報告の後はディスカッションが白熱したため、質問の時間が少なくなってしまったことが残念でした。
最後に、三鷹公共職業安定所所長の小山雅之氏より閉会のご挨拶をいただきました。あっという間の3時間で、特に実践報告での働くご本人の話は説得力があったことや、企業・支援機関・当事者のトライアングルによって就労の輪が広がっていくよう障がい者の雇用の推進に努めていきたい、というお話をいただきました。
当日はたくさんの方にお越しいただき、多くの方々にご協力を賜りまして、ありがとうございました。また、ご後援をいただいた武蔵野商工会議所様、三鷹商工会様、武蔵野市民社会福祉協議会様、三鷹市社会福祉協議会様には広報活動にもご協力いただき、誠にありがとうございました。
参加した方からはアンケートのご回答をたくさんいただきました。一部をご紹介します。
・事業所も支援機関とともに工夫してきたということが大変よくわかりました。
・特例子会社ではなく、単体企業で実施している取り組みが知りたい。
・働いている人の声が特に参考になりました。
・企業が障がい者雇用に対する意識が変わってきていることを感じ、将来に希望が持てました。
皆様からのご意見を参考にさせていただき、来年もご期待に応えられるような「障がい者の就労を考えるつどい」を開催してまいりたいと思います。