株式会社サンドラッグ・ドリームワークス国立事業所を見学
2015年7月9日(木)、第5回「かけはし企業見学会」を実施しました。今回の見学先は株式会社サンドラッグ・ドリームワークス国立事業所で、三鷹市内の通所施設に通所中の当事者の方9名、施設職員4名、かけはし職員3名の総勢16名でうかがいました。
株式会社サンドラッグ・ドリームワークスは2011年2月に設立され、翌2012年2月に株式会社サンドラックの特例子会社として認定されました。
「生きがいのある、働きがいのある、夢のある職業生活の場」をスローガンに掲げ、現在、障がいのある方が48名働いています。事業所は東府中本部と国立事業所の2か所で、今回訪問させていただいた国立事業所では伝票処理・備品出荷事業、白衣管理事業、ショーカード発行事業という3つの事業を担っています。
■ サンドラッグの店舗に掲示される多種多様なショーカードを製作
時おり雨のぱらつく空の下、最寄り駅のJR南武線矢川駅から約20分歩いていくと、多摩川沿いの住宅街の中にドリームワークス国立事業所はありました。サンドラッグの配送センターが昭島に移転したため、そのスペースを活用してドリームワークス国立事業所が設立されました。事業所に入る扉には、私たちのために「ようこそ、見学においでくださいました」という手書きのメッセージがあり、大勢での見学にもかかわらず温かく迎えていただけることをとてもうれしく感じました。
最初に、株式会社サンドラッグ・ドリームワークス管理部総務・人事課兼フィールドマネジャーの林様から、会社の概要について説明いただきました。設立に至るまでの経緯や、東府中の同社本部では事務・伝票処理、清掃、店舗清掃の3つの事業を行っていることなどをうかがいました。
その後、ショーカード発行事業の現場責任者の土田様から、作業の詳しい説明を受けました。現在、障がいのある20名の方々が働いていらっしゃいます。ショーカードというのは、全国720店舗あるサンドラッググループの店舗で使用される商品の価格や紹介、ポスターなどの販売促進物のことです。ショーカードは商品の数だけ種類があり大きさも様々、セールによって価格が変更されることも度々あります。また、ポスターは大きなものもあり、製作されているカードの種類は多種多様です。
作業工程は大きく6つに分けられており、①パソコンにデータとしてあるショーカードを印刷、②余白を取り除き掲示する大きさにする裁断、③裁断されたカードを種類ごとに仕分け、④仕分けしたものを店舗ごとのカゴにまとめる配達、⑤各店舗からのオーダー表と付け合わせてカードを確認する検品、⑥検品が終了したものを店舗に送るために袋に詰める梱包と、進められます。
■ プロとしての誇りと責任感を持っている社員の方々
店舗からの注文を受け納品するまでの期間は1週間程度と短いので、各作業には正確さとともにスピードが求められています。
同社では、実際に作業を担当している方の作業量を記録することで実状を把握し、その上で目標時間を設定しています。例えば梱包ならば1人当たり1時間で20袋を目標として、担当者はそれぞれ作業をしながら記録をつけます。達成に向けて職場全体で着実に努力されている姿勢が伝わってきました。
裁断は最も熟練を必要とする作業で、5台ある裁断機を担当されているのは就労されて3年ぐらいの方々でした。鋭利な刃先が使用されているので、機械が稼働している時にはランプが点灯、片手で作業しても作動しないといったハード面での工夫に加え、裁断機のあるスペースには立ち入れないように柵を設けるなど、安全面に十分配慮がなされていました。
新しく入った方は仕分けから始めて配達、検品、裁断と業務を習得されていくそうですが、決まった方がどこかの工程だけを専門に担当するということではなく、持ち場の作業が終わったら別作業を担当し、納期までに仕事を終えるため職場全体でローテーションを組み効率よく仕事を進めていました。
参加者の方々は、疑問に思った点を働かれている方に直接うかがう時間をいただいて、それぞれ熱心に、実際の仕事の内容や働いてみた感想などを質問していました。
「サンドラッグへ行ってショーカードを見ると、自分の作ったものだと思ってうれしくなります。」と、障がいのあるスタッフの方が笑顔で誇らしく話していたのがとても印象的でした。
■ 忙しくても笑顔を忘れないがモットー、1人1人の力を大切に育む職場
最後に、参加者の方々から林様に質問する機会をいただきました。
採用までの流れ、通勤時の服装、就業時間と残業時間などの質問や、「この仕事は大変そうだと思いました。頑張ってやりたいと思いますが、まだできるかわかりません」などという感想がでました。
林様からは、不安に対して「今働いている人も、みんな始めはできなかったんです。大丈夫、みなさんもきっとできますよ。」という力強いメッセージに加え、実際に活躍されている社員の方のお話を聞かせていただきました。重度の障がいがあるスタッフが熟練度の必要とされる裁断業務を行っていることをうかがって、1つ1つの作業の手順や内容を明瞭にすることや、色分けの工夫によるミスの防止策、工程全体の効率的なシステムなどによって、作業を習得しやすく熟練度を上げていくことが可能になっていると思いました。
職場のホワイトボードにはミーティングの課題が書かれていて、1人の課題をみんなの知恵で解決していっている様子も伝わってきました。
「締め切りが近づいている時はピリピリした雰囲気になることもあります。」という土田様のお話でしたが、見学した日の印象はとても和やかな雰囲気の職場でした。「どうせやるなら、『仕事は楽しくやろう』といつも言っているんです。」と林様はおっしゃっていて、「忙しくても笑顔を忘れない」というモットーも休憩室に掲げられていました。ショーカードの品質や納期遵守にこだわりつつも楽しく仕事をしようという姿勢を強く感じ、個人が能力を伸ばし、人を育てていく力のある職場だと思いました。
最後になりましたが、今回の見学会を快くお引き受けいただいた株式会社サンドラッグ・ドリームワークスの管理部総務・人事課兼フィールドマネジャー林様と、国立事業所のみなさまに心からお礼を申し上げます。
◎ 株式会社サンドラッグ・ドリームワークス
https://www.sundrug.co.jp/company/group/dw.html
以下、参加者の感想をご紹介いたします。
・自分の一般就労のイメージと全く違いました。障害のある方がスタッフとして大勢働いていたので驚きました。
・働いている皆さんが責任感を持って、不安なく、ご自身の仕事を理解して働いていると感じました。やり方が統一されており、環境が整えられていると思いました。
・見学できて、おもしろかったです。
・すごく一生懸命、丁寧にお仕事していたことと、メモ帳を確認しながらやっていたことが印象に残りました。